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2024.09.27

大きな土地は分割して売却できる?分筆の流れと売る前の注意点

広い土地を持っていると、「全部は手放したくない」「一部だけ売れば買い手が見つかるのでは」と考えることがあります。

所有する土地の一部を分けて売却することは可能です。ただし、土地の分け方によっては、売る部分や手元に残す部分に家を建てられなくなることがあります。

先に確認したいのは、分けたあとの土地の使い方と売却方法です。不動産会社に一括売却との比較を相談し、土地家屋調査士や自治体と条件を確認してから分筆を進めましょう。

土地の一部を売るときに行う「分筆」とは

分筆は、登記上ひとつの土地を、ふたつ以上の土地に分ける手続きです。登記では土地を「筆」という単位で数えるため、1筆を2筆に分ける、と表現します。

たとえば、登記上ひとつになっている土地の半分を売り、半分を自分で使い続ける場合は、売る範囲を別の土地として登記する必要があります。現地に柵を設けたり、図面に線を引いたりするだけでは、登記上の土地は分かれません。

分筆に必要な調査・測量と登記申請は、土地家屋調査士に依頼するのが一般的です。土地家屋調査士は、土地の位置や面積、境界を調べ、土地の状態を登記に反映する専門家です。※1

分筆が終わっても、それだけで建築条件や売却条件が整うわけではありません。次の点を、分ける線を決める前に確認してください。

分ける前に確認したい3つの条件

1. 売る土地と残す土地が、それぞれ道路に接しているか

住宅用地として売る場合は、分けたあとの敷地で建築できるかを確認します。都市計画区域などでは、原則として建築物の敷地が建築基準法上の道路に2メートル以上接する必要があります。この条件が「接道義務」です。例外の認定・許可や、条例による追加条件もあります。※2

見た目が道路でも、建築基準法上の道路に当たるとは限りません。また、狭い道路では「セットバック」と呼ばれる敷地の後退が必要になる場合があります。道路として扱う範囲を確保するため、道路沿いの一部を建物の敷地に使えなくなることです。※2

たとえば、道路に面した土地を前後に分け、手前だけを売るケースを考えてみましょう。奥に残る土地が道路に接しなくなると、将来の建て替えや売却で支障が出るおそれがあります。

売る部分に加えて、残す部分の出入口や建て替え条件まで確認してください。接道の判断は、土地の所在地の自治体の建築担当窓口や建築士に相談しましょう。

2. 建築に使える面積や用途の条件を満たすか

土地には、建てられる建物の種類や規模に関する条件があります。「用途地域」は建物の用途などを定める区分で、「市街化区域・市街化調整区域」という区分とは別の制度です。

また、地区計画などで、建築物の敷地面積に最低限度が定められている場所もあります。小さく分けた結果、住宅の敷地として使う条件を満たさなくなる可能性があるため、所在地の都市計画情報を確認してください。※3

すでに家が建っている土地の一部を売る場合は、残った敷地で既存の建物が規制に適合するかも調べます。建ぺい率は敷地に対する建築面積の割合、容積率は敷地に対する建物の延べ面積の割合です。敷地が小さくなると、これらの上限を超えるおそれがあります。

登記上の土地と、建築で扱う敷地の範囲が一致するとは限りません。分筆の図面と既存建物の資料をそろえ、建築士や自治体に確認しましょう。

3. 造成や道路整備に開発許可が必要か

土地を分筆することと、宅地として造成することは別の手続きです。

横浜市の案内では、公図上の分合筆など、単に敷地を分けるだけなら開発行為には該当しないとされています。一方、土地を削ったり土を盛ったりする工事が伴うと、開発行為に該当する場合があります。※4

開発許可は、建物を建てる目的などで行う土地の区画・形状・性質の変更について、安全性や必要な施設などを審査する制度です。市街化区域でも、規模などによって許可が必要になります。市街化調整区域では、市街化を抑えるために開発を許可できる条件が限定されています。※5

所在地や計画内容によって扱いが変わるため、道路の新設や造成を伴う場合は、工事や分筆に着手する前に自治体の開発担当窓口へ相談してください。

複数の区画を売る場合は、宅建業免許にも注意

広い土地を複数の住宅用地に分け、それぞれ別の買主へ売る場合は、宅地建物取引業の免許が必要になる可能性があります。

国土交通省の考え方では、1回の販売でも、区画を分けて複数の人に宅地を売る行為は、反復継続的な取引に当たります。ただし、宅建業への該当性は、取得した経緯、売却の目的、取引相手、販売方法などを総合した判断です。※6

そのため、「自分の土地だから免許はいらない」「不動産会社に仲介を頼めば問題ない」と決めつけて進めないようにしましょう。

複数区画の販売を考えている場合は、区画数や売却先の案を整理し、都道府県の宅建業免許担当窓口に事前に確認してください。

分割売却と一括売却は、費用を引いた金額で比べる

土地を小さく分けると、1区画あたりの購入金額を抑えられるため、検討できる買主が増える場合があります。一方で、測量や工事の費用が増えたり、一部の区画だけが売れ残ったりする可能性もあります。

比較するときは、売却価格の合計に加えて、準備費用、売却にかかる時間、手元に残る土地の使いやすさを見てください。

比較する点 分割して売る場合 まとめて売る場合
買主が検討する金額 1区画あたりの総額を抑えられる場合がある 土地全体を購入できる買主を探す
売却の準備 分筆や区画ごとの利用条件の整理が必要 分筆が不要でも、測量などが必要な場合がある
工事・設備 通路や上下水道などの整備費を確認する 整備の範囲や費用負担を買主と相談する
売却の進み方 区画ごとに売れる時期が異なる可能性がある 全体をひとつの取引として進める

不動産会社には、分筆する前に「一括ならいくらを見込めるか」「分けるなら費用がいくらかかるか」を相談しましょう。どちらの方法でも、高く売れることや売却期限を保証できるわけではありません。

すでに売り出していて反響が少ない場合は、分割を決める前に、価格や販売方法も見直してください。【売却が長引く原因と見直しポイント】も参考になります。

分筆して売却するまでの進め方

1. 資料をそろえ、売る範囲の希望を伝える

手元にある登記事項証明書、公図、地積測量図、購入時の契約書などを確認します。建物がある場合は、建築確認に関する書類や敷地の図面も相談の参考になる資料です。

「自宅は残したい」「道路側の一部を売りたい」「いつまでに資金が必要か」など、希望を具体的に伝えてください。

2. 分け方と必要な手続きを確認する

不動産会社と売却方法を比較し、土地家屋調査士に測量や分筆の見通しを確認します。接道や建築の条件、開発許可、宅建業免許については、それぞれの担当窓口に相談しましょう。

上下水道などの配管が、売る土地と残す土地のどちらを通っているかも確認してください。将来の工事や維持管理に支障がないよう、設備の扱いと費用負担を整理します。

3. 境界を調べ、測量と分筆登記を進める

土地家屋調査士が資料と現地を調査し、必要な境界確認や測量を進めます。隣接する土地の所有者や道路管理者との立会い・協議が必要になる場合もあるため、事前に予定を確認してください。※1

境界について争いがある場合などは、予定どおりに進まない可能性があります。日程は一律に決めず、調査結果を踏まえて相談してください。

4. 契約条件を整え、引渡しへ進む

買主と、売却範囲、面積、境界、設備、費用負担、引渡し時期などを確認します。

分筆前に売買契約を結ぶ場合は、予定した分筆ができなかったときの扱いも決める必要があります。契約の時期や条件は、不動産会社と登記の専門家に相談してください。

分割売却で見込んでおきたい費用と税金

費用は土地の広さだけで決まるものではありません。境界資料の有無、隣地との確認、区画数、工事の必要性などで変わります。

費用・税金 確認する内容
調査・測量・分筆の費用 土地家屋調査士への報酬、資料取得、境界標の設置などの見積もり
登録免許税 所有権の登記がある土地の分筆は、原則として分筆後の土地1筆につき1,000円。売買による所有権移転登記などは別に確認する ※7
工事費 通路、上下水道、塀の移設など。誰がどこまで負担するかを整理する
売却に伴う費用 仲介手数料、契約書の印紙税など、取引方法に応じた負担を確認する
売却益に対する税金 個人が売る場合は、取得費や譲渡費用を差し引いた利益をもとに確認する ※8

個人の土地売却では、売却代金から取得費と譲渡費用を差し引いて譲渡所得を計算します。取得費は土地を買ったときの代金など、譲渡費用は売るために直接かかった費用です。分筆した土地の一部を売る場合は、取得費などを売った部分にどう割り当てるか、税理士に確認してください。※8

所有期間や特例の適用によって税額は変わります。売却代金をそのまま手元に残る金額として考えず、税金も含めた見通しを立てましょう。

分筆を依頼する前に、売却方法を相談しよう

広い土地を分けて売りたいときは、売る範囲の希望と、残したい土地の使い方を整理してください。そのうえで、一括売却と分割売却の価格・費用・準備期間を比べると、判断しやすくなります。

ロイズコーポレーションへの土地売却のご相談は、下記のお問い合わせ窓口をご利用ください。土地の所在地やおおよその面積に加え、「一部だけ売りたい」などの希望をお伝えいただくと、相談内容を共有しやすくなります。

参考資料・出典

以下は2026年10月1日に確認した資料です。自治体の資料は、その自治体での運用を示します。個別の土地の条件は、所在地の担当窓口へ確認してください。

※1 東京土地家屋調査士会「土地家屋調査士にできること」。分筆、境界確認、測量の手続き。
※2 横浜市「建築基準法の道路について」「横浜市道路位置指定申請の手引」。道路の種類、接道義務、道路後退。
※3 豊島区「立教大学南地区地区計画」。地区計画による敷地面積の最低限度の例。全国共通の面積基準ではありません。
※4 横浜市「Q1-3 敷地の分割は開発行為ですか」。分合筆と造成を伴う開発行為の区別。
※5 国土交通省「開発許可制度の概要」。開発許可、市街化区域・市街化調整区域の扱い。
※6 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」令和8年4月1日施行版、第2条第2号関係。区画割り販売と事業性の判断。
※7 e-Gov法令検索「登録免許税法」別表第一・第一号(十三)イ。所有権の登記がある土地の分筆に伴う登録免許税。
※8 国税庁「不動産等を売却した方へ」令和7年分確定申告特集。譲渡所得、取得費、譲渡費用の基本的な考え方。