2025.01.30
不動産売却の「現状渡し」とは?メリット・デメリットと売却前の注意点
古い家や相続した不動産を売却するとき、「修繕やリフォームにお金をかけず、このままの状態で売れないだろうか」と考える方も多いのではないでしょうか。
不動産は、必ずしもきれいに修繕してから売却しなければならないわけではありません。現在の状態のまま買主へ引き渡す「現状渡し」という方法もあります。
ただし、現状渡しだからといって、物件の不具合を説明しなくてもよい、売却後の責任がすべてなくなる、という意味ではありません。
大切なのは、物件の状態を把握したうえで、何をそのまま引き渡すのか、どのような条件で売買するのかを明確にしておくことです。
ここでは、不動産を現状渡しで売却するメリット・デメリットや、売却前に確認しておきたいポイントをわかりやすく解説します。
不動産売却の「現状渡し」とは?
一般に「現状渡し(現況渡し)」とは、売主が修繕やリフォームなどを行わず、現在の状態で不動産を引き渡す方法をいいます。
たとえば、
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壁紙や床に経年による傷や汚れがある
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設備の一部に不具合がある
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築年数が古く、修繕が必要な箇所がある
といった住宅でも、買主がその状態を理解し、契約条件に合意すれば売却することは可能です。
ただし、「現状渡し」としただけで、契約不適合責任まで自動的になくなるわけではありません。
また、「そのまま」という言葉だけで売買条件が決まるわけでもありません。
どのような不具合があるのか、設備をどこまで残すのか、家具や荷物をどうするのかなどは、売買前に整理しておく必要があります。
現状渡しで売却するメリット
売却前の修繕費を抑えられる
現状渡しの大きなメリットは、売却前にまとまった修繕費をかけずに済むことです。
築年数が経過した住宅では、屋根や外壁、水回り、給排水設備など、気になるところをすべて直そうとすると費用が膨らむことがあります。
しかし、売却前に工事をしても、かけた費用をそのまま売却価格に上乗せできるとは限りません。
大きな修繕やリフォームを行う前に、不動産会社へ相談して「直した方がよい部分」と「そのままでも売却を検討できる部分」を整理することが大切です。
工事を待たずに売却活動を始めやすい
修繕工事を行う場合、業者探しや見積もり、工事そのものにも時間がかかります。
現状渡しであれば、こうした工事の完了を待たずに売却活動を始められる可能性があります。
ただし、現状渡しにしたからといって、必ず早く買主が見つかるわけではありません。物件の立地や価格、建物の状態、需要などによって売却期間は変わります。
現状渡しのデメリット・注意点
修繕費などを考慮した価格交渉が入ることがある
買主から見ると、購入後に修繕費が必要になる物件は、その費用や不確実性も含めて購入を判断することになります。
そのため、建物の状態によっては、修繕費などを考慮した価格交渉が入ることがあります。
とはいえ、「現状渡しなら必ず安く売らなければならない」というわけではありません。
周辺の成約事例、建物の状態、土地の価値、購入希望者からの反響などを見ながら価格を決める必要があります。
すでに売却活動をしていて反響が少ない場合は、価格だけでなく広告や物件の状態、売却条件なども合わせて確認してみましょう。
買主が物件の状態を判断しにくい場合がある
見た目では分からない雨漏りや腐食、シロアリ被害などが心配される場合、買主が購入を慎重に判断することがあります。
必要に応じて、専門家による「建物状況調査(インスペクション)」を検討する方法もあります。
国土交通省が定める建物状況調査は、国の登録を受けた既存住宅状況調査技術者講習を修了した建築士が、所定の基準に沿って既存住宅の状態を調査するものです。※2
建物状況調査は、ひび割れや雨漏りなどの劣化・不具合の有無を確認するためのもので、建物に不具合がないことを保証するものではありません。
それでも、売主・買主が建物の状態を把握するための判断材料の一つになります。

「現状渡し=売主の責任がなくなる」ではない
現状渡しで特に注意したいのが、「契約不適合責任」です。
契約不適合責任とは、引き渡された不動産が、売買契約で約束した種類・品質などに適合していなかった場合に問題となる売主の責任です。
一定の要件を満たす場合、買主から修補などの履行の追完、代金減額、損害賠償、契約解除などを求められる可能性があります。※1
民法では、種類や品質に関する契約不適合について、原則として買主がその不適合を知った時から1年以内に売主へ通知することが定められています。※1
ただし、売主が引渡し時にその不適合を知っていた場合や、重大な過失によって知らなかった場合など、この期間制限が適用されないケースもあります。
また、実際の不動産売買では、契約によって責任を負う範囲や期間などを定めることがあります。
なお、売主が宅地建物取引業者である場合など、売主・買主の属性によっては、契約不適合責任に関する特約に法律上の制限が設けられていることもあります。※3
そのため、個別の売買でどこまで責任を負うのかについては、契約内容を確認することが重要です。
ここで特に注意したいのは、「現状渡し」や「契約不適合責任を負わない」という取り決めをすれば、知っている不具合まで黙ってよいわけではないということです。
民法では、売主が知りながら買主に告げなかった事実については、担保責任を負わない旨の特約があっても責任を免れないとされています。※1
雨漏り、シロアリ被害、給排水の不具合など、売主が把握している情報は、不動産会社に伝えたうえで契約内容へ適切に反映させることがトラブル防止につながります。
現状渡しで売却する前に確認したい5つのこと

1.現在分かっている不具合を整理する
まずは、売主自身が把握している物件の状態を整理します。
たとえば、
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雨漏りや過去の雨漏り修理
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シロアリ被害
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給排水設備の不具合
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給湯器やエアコンなど設備の故障
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建物のひび割れや腐食
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増改築やリフォームの履歴
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境界や近隣との問題
などです。
「故障しているか分からない」という場合も、分からないものを無理に「問題なし」と判断するのではなく、不動産会社へそのまま伝えましょう。
2.修繕するかどうかを査定前後に相談する
古い部分を見つけると、「先に直した方が高く売れるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、買主が購入後に自分好みにリフォームしたい場合もあります。また、修繕費をかけても、その費用以上に売却価格が上がるとは限りません。
売却するためのリフォームを自己判断で始める前に、不動産会社へ相談することをおすすめします。
まだ査定を依頼していない段階でも、「この状態のままで売れるのか」「修繕した方がよいのか」を相談してから判断すれば、不要な出費を避けられる可能性があります。
3.家具や荷物が大量に残っていても、処分する前に相談する
「現状渡し」と「家具や荷物を残したまま引き渡すこと」は、必ずしも同じではありません。
仲介で一般の買主へ売却する場合には、引渡しまでに家具や家電などの残置物を撤去する条件になることもあります。
一方、ロイズコーポレーションの買取では、家具・家電・生活用品などの残置物が多く残っている物件でも、そのままご相談いただけます。
「相続した家に家財道具が大量に残っている」「長年住んでいたため、どこから片付ければよいか分からない」といった場合でも、査定を受けるために先に片付ける必要はありません。
ロイズコーポレーションでは、残置物の撤去に対応できる体制を整えているため、量が多い物件についてもご相談いただけます。
残置物が多いからといって売却を諦めたり、査定前に費用をかけて処分したりせず、まずは現在の状態のままご相談ください。
買取の場合は、残置物の撤去も含めた条件で売却を検討できるため、売主様自身で片付けや処分業者の手配を行わずに進められるケースがあります。
4.必要に応じて建物状況調査を検討する
建物の状態が分からない場合や、築年数が経過していて不具合が心配な場合には、建物状況調査を利用する方法があります。
建物状況調査によってすべての不具合が分かるわけではありませんが、売主・買主が建物の状態を確認するための判断材料になります。
実施するかどうかは物件や売却方法によっても異なるため、不動産会社へ相談して判断しましょう。
5.「仲介」と「買取」の両方を比較する
現状渡しを考えている場合は、売却方法そのものも比較してみましょう。
仲介では、不動産会社が購入希望者を探し、条件が合う買主へ売却します。
一方、買取では不動産会社自身が買主となります。
どちらが適しているかは、
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どの程度の価格を希望するか
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いつまでに売りたいか
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建物がどの程度傷んでいるか
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修繕や残置物処分にどの程度手間をかけられるか
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内覧などの売却活動に対応できるか
などによって変わります。
「現状渡しにするか」を単独で決めるのではなく、修繕して仲介する場合、現状のまま仲介する場合、買取を利用する場合の条件を比較すると判断しやすくなります。
現状渡しを検討しやすいのはこんな物件
現状渡しは、たとえば次のような物件で選択肢になりやすい方法です。
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築年数が経過し、修繕箇所が多い住宅
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相続したものの長期間住んでいない住宅
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空き家になっている住宅
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家具や家電、生活用品などが大量に残っている住宅
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リフォーム費用をかけるべきか判断できない住宅
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買主側でリノベーションすることを前提に検討されやすい住宅
ただし、同じ築年数でも、立地や建物の状態、売却方法によって適した方法は変わります。
そのため、「古いから現状渡し」「荷物が多いから売れない」と決めつけず、まず査定を受けてから判断するのがおすすめです。
古い・傷んでいる・荷物が多い物件も、まずはそのままご相談ください
不動産を売却しようと思ったとき、「こんな状態で不動産会社に見せても大丈夫なのだろうか」と不安になる方もいるかもしれません。
しかし、売却前にすべてをきれいにする必要があるとは限りません。
特に、
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建物が古く、修繕箇所が多い
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長期間空き家になっている
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相続後、家財道具を整理できていない
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室内に大量の荷物が残っている
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どこまで修繕・片付けをすればよいか分からない
といった物件ほど、費用をかける前に売却方法を確認することが大切です。
ロイズコーポレーションでは、仲介だけでなく不動産の買取にも対応しています。
建物の状態や残置物の多さだけで「売るのは難しい」と判断せず、まずはそのままの状態でご相談ください。
物件の状態を確認したうえで、仲介・買取を含めた売却方法をご提案します。
まとめ|修繕や片付けを始める前に「そのまま売る場合」と比較しよう
現状渡しは、修繕やリフォームに大きな費用をかけず、不動産を現在の状態で売却できる方法です。
一方で、現状渡しにすれば物件の説明や売却後の責任がすべてなくなるわけではありません。
売主が把握している不具合を整理し、買主へどのような状態で引き渡すのかを契約上明確にすることが重要です。
また、売却前に大規模な修繕や残置物の処分を行うべきかどうかは、物件や売却方法によって異なります。
ロイズコーポレーションでは、不動産の買取・仲介を含め、物件の状態に合わせた売却方法をご相談いただけます。
古い家、傷みのある家、家具や荷物が大量に残っている家でも、まずは手を加えず現在の状態のままご相談ください。
「直してからでないと売れないのでは」「片付けてから査定を頼むべき?」「この状態でも買い取ってもらえる?」といった段階でも問題ありません。
修繕費や処分費をかける前に、まず売却方法を比較してみましょう。
参考資料・出典
※1 e-Gov法令検索「民法」(第五百六十二条~第五百六十六条、第五百七十二条)(2026年8月31日確認)
※2 国土交通省「建物状況調査に関する基礎知識」(2026年8月31日確認)
※3 e-Gov法令検索「宅地建物取引業法」(第四十条)(2026年8月31日確認)