2024.11.29
不動産売却の告知書とは?何を書く?記載内容・注意点をわかりやすく解説
不動産を売却するとき、不動産会社から「告知書を書いてください」と言われ、「どこまで書けばいいの?」「昔のことまで書く必要がある?」「分からない項目はどうすればいい?」と迷う方もいるでしょう。
告知書とは、売主が把握している土地・建物の状態や過去の履歴を、買主へ伝えるための書類です。
大切なのは、何でも「問題なし」とすることでも、思い当たることをすべて問題として扱うことでもありません。把握している事実を整理し、分からないことは推測せず、迷う項目は不動産会社と確認しながら記入することが基本です。
この記事では、不動産売却における告知書の役割や主な記載内容、記入するときに迷いやすいケースについて分かりやすく説明します。
不動産売却の「告知書」とは?
告知書は、売主が知っている物件の状態や過去の履歴などを整理し、買主へ伝えるために使われる書類です。
不動産会社による調査だけでは、過去の雨漏りや修繕履歴、以前起きたトラブルなど、実際に所有・使用していた人でなければ分からないこともあります。
そのため、不動産を売却するときには、売主が把握している情報を告知書に整理し、買主へ伝えていきます。
ただし、分からないことまで売主が推測して答える必要はありません。
相続した家など、過去の状況を把握していない場合には、その事情も含めて不動産会社へ伝えることが大切です。
告知書・付帯設備表・重要事項説明書の違い
不動産売却では、似たような書類がいくつも登場します。
| 書類 | 主な役割 |
|---|---|
| 告知書 | 売主が把握している土地・建物の状態や過去の履歴を伝える |
| 付帯設備表 | エアコン・給湯器・照明など、引き渡す設備の有無や状態を確認する |
| 重要事項説明書 | 法令上の制限や権利関係、取引条件などの重要事項を宅地建物取引士が説明する |
特に告知書は、「実際にその物件を所有・使用していた売主だからこそ分かる情報」を整理するための書類と考えると分かりやすいでしょう。
告知書は誰が書く?
告知書は、基本的に売主が自分の知っている範囲で内容を確認・記入します。
不動産会社の担当者から書き方について説明を受けることはできますが、物件で過去に何があったのか、いつ修繕したのかなどは、売主でなければ分からないことも多いためです。
一方、相続した家などでは、現在の売主が実際に住んでおらず、過去の状態を把握していないケースもあります。
そのような場合には、分からないことを推測して「なし」と記入しないことが大切です。
使用する書式や不動産会社の案内に従い、「不明」「把握していない」など事実に沿って記入し、分からない理由についても担当者へ伝えておきましょう。
告知書には何を書く?
具体的な項目は物件や使用する書式によって異なりますが、主に次のような内容を確認します。
建物について
雨漏り、シロアリ被害、建物の傾きや腐食、給排水設備の不具合、増改築・修繕の履歴などです。
現在は直っている不具合でも、過去にどのような問題があり、いつ、どのような修繕をしたのか分かる場合は整理しておくことが大切です。
工事の見積書や請求書、保証書、点検記録などが残っていれば、一緒に確認しておきましょう。
土地について
境界の状況、土地の過去の利用状況、土壌汚染に関する調査の有無などを確認する場合があります。
土地についても、売主自身で判断できない内容を無理に断定する必要はありません。過去の資料などを確認しながら、不明な部分は不動産会社へ相談しましょう。
建物に関する資料
新築時の設計図書、耐震診断、住宅性能評価、過去の増改築や修繕に関する資料などが残っている場合は、あわせて確認します。
すべての資料が揃っていなければ売却できないというわけではありません。
手元に残っているものを整理しておくことで、物件の状態や過去の履歴を確認しやすくなります。
「これも書く?」と迷いやすいケース
昔、雨漏りしたけれど修理済みの場合
「もう直っているから書かなくてもいい」と自己判断するのではなく、過去の状況や修繕時期、工事内容など、分かる範囲で整理しておきましょう。
修繕したこと自体が、売却できない理由になるわけではありません。
大切なのは、どのようなことがあり、その後どのように対応したのかを整理して伝えることです。
相続した家なので過去の状態が分からない場合
親から相続した実家など、売主自身が物件に住んでいなかった場合は、すべての項目に答えられるとは限りません。
その場合も、分からないことを無理に断定しないことが大切です。
過去の工事書類や写真、点検記録などが残っていないか確認し、それでも把握できない部分については、その事情を不動産会社へ伝えましょう。
建物の状態そのものが分からない場合には、必要に応じて専門家による建物状況調査(インスペクション)を検討する方法もあります。
近隣の騒音やトラブルが気になる場合
近隣関係については、「うるさい人がいる」といった主観的な表現ではなく、実際に把握している事実を整理することが大切です。
過去に具体的なトラブルや取り決めなどがあり、買主の判断に影響する可能性がある場合には、どのように伝えるべきか不動産会社へ相談しましょう。
過去に物件内で人が亡くなっている場合
人の死に関する事項は、「物件内で人が亡くなったことがある=すべて同じように告知する」と一律に判断するものではありません。
国土交通省のガイドラインでは、居住用不動産で発生した自然死や、転倒・誤嚥など日常生活の中で生じた不慮の死については、原則として告げなくてもよいケースとして整理されています。※1
一方で、他殺・自死などの場合や、買主から事案の有無について尋ねられた場合、社会的影響が大きく買主が把握しておくべき特段の事情がある場合などは、扱いが異なります。
また、「3年を経過すれば告知しなくてよい」という考え方は、一定の賃貸借取引について示されているもので、売買取引に一律に当てはめられるものではありません。※1
人の死に関する告知は個別の状況によって判断が変わるため、自己判断で記載を省略せず、不動産会社へ事情を伝えて確認しましょう。
告知書と「契約不適合責任」の関係
以前の不動産売買では「瑕疵担保責任」という言葉が広く使われていました。
2020年4月に施行された改正民法では、引き渡されたものが種類・品質・数量などについて契約の内容に適合しているか、という考え方を中心としたルールに改められています。※2
引き渡した不動産が契約内容に適合していない場合には、契約内容や個別の事情によって、買主から修補などの追完や代金減額、損害賠償、契約解除などが問題になる可能性があります。
ここで注意したいのは、告知書に記入すれば、それだけで売主の責任がなくなるわけではないということです。
物件にどのような状態や履歴があるのかを整理して買主へ伝え、その内容も踏まえながら売買条件や契約内容を決めていくことが重要です。
「現状のまま売却すれば、不具合について説明しなくてもいいの?」と気になっている方は、こちらの記事もあわせてご覧ください。
【不動産売却の「現状渡し」について詳しく知りたい方はこちら】
告知書を書く前に確認したい5つのポイント

告知書を書く前に、次の5つを確認しておくと情報を整理しやすくなります。
-
過去の修繕・リフォーム・点検資料を探す
-
現在気になっている不具合や状態を整理する
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「現在の状態」と「過去の履歴」を分けて考える
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分からないことを推測で「なし」としない
-
告知すべきか迷った項目は、不動産会社へ確認する
特に築年数が経過した物件や相続物件では、すべての状態を売主自身が把握しているとは限りません。
完璧に答えることよりも、知っていることと分からないことを正しく整理することが大切です。
告知内容に迷っている段階でも売却相談はできます
「雨漏りを修理してから売った方がいい?」
「相続した家なので、分からない項目が多い」
「この内容は買主へ伝えた方がいい?」
このような疑問がある場合は、告知書を書き終えてからではなく、売却を検討している段階で不動産会社へ相談できます。
物件によっては、修繕してから売却する方法だけでなく、現在の状態を踏まえて売却方法を検討できる場合もあります。
ロイズコーポレーションでは、不動産の売却相談・査定を受け付けています。
物件の状態や過去の履歴に不安がある場合も、まずは現在分かっている情報から整理してみましょう。
参考資料・出典
※1 国土交通省「「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」について」(2026年9月28日確認)
※2 法務省「売主の瑕疵担保責任に関する見直し①」(2026年9月28日確認)