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2024.09.24

アスベストを含む不動産は売却できる?調査・告知・解体費用の注意点

古い家やビルを売ろうとして、アスベストの使用が気になっている方もいるでしょう。「売る前に除去しなければならないのか」「買主に何を伝えればよいのか」は、先に確認しておきたい点です。

アスベストを含む建材が使われていても、不動産の売却は可能です。ただし、使用状況や調査記録を買主に伝え、将来の工事費用を踏まえて契約条件を決める必要があります。

売買の際に確認することと、解体・改修工事で必要になる調査は分けて考えましょう。先に除去や解体を決めるより、資料を集めて不動産会社へ相談し、建物を残して売る場合と工事をして売る場合を比較すると判断しやすくなります。

アスベストが使われていても、売却前に必ず除去するわけではない

アスベストは「石綿」とも呼ばれる繊維状の鉱物です。かつて建材に使われ、古い建物では屋根材、壁材、吹付け材などに含まれていることがあります。建材の種類や傷み具合によって、繊維が空気中に飛び散るおそれは異なります。※1

売却前にすべてのアスベストを除去しなければならない、という一律のルールはありません。買主が建物の状態を理解し、引き渡し方や費用負担などに合意すれば、建物を残して売る方法も検討できます。

ただし、売却できることと、そのまま安全に使えることは別の判断です。建材の劣化や損傷が気になる場合は、調査会社や建築の専門家に状態を確認してもらいましょう。気になる建材を自分で削ったり、割ったりして確かめることは避けてください。※1

売却時の説明と、解体・改修時の調査はどう違う?

売却時は、調査記録の有無と内容を確認する

不動産会社が取引に関わる場合、建物の石綿使用について調査結果の記録があれば、その内容を重要事項説明で説明します。重要事項説明は、契約前に買主へ物件や取引の重要な情報を伝える手続きです。※2

国土交通省の運用上の考え方では、この説明のために、不動産会社へ新たな石綿調査の実施まで一律に義務付けているわけではありません。売却するという理由だけで、すべての売主が必ず新たな調査を行う、とも言い切れません。※2

一方、調査記録が見つからないことは、アスベストが使われていない証明にはなりません。売主は手元の報告書や工事記録を不動産会社に渡し、分かっていることと未確認のことを区別して伝えましょう。

解体・改修時は、工事前の調査が原則必要

建物を解体したり、壁や屋根などを改修したりする場合、施工業者などは原則として工事前に石綿使用の有無を調べます。これは、売買時の説明とは別の制度です。※3

建築物の事前調査は、2023年10月1日以降に着工する工事から、法令で定める資格者が行うことが義務付けられています。工事を依頼するときは、施工業者に調査の担当者と調査範囲を確認してください。※4

事前調査と、調査結果を行政へ報告する義務にも違いがあります。建築物について、国の制度で報告対象となる主な基準は次のとおりです。※3

工事の種類 事前調査結果の報告対象となる主な基準
建築物の解体 解体する部分の床面積の合計が80㎡以上
建築物の改修・補修 工事の請負代金の合計が税込100万円以上

上記の金額には材料費を含み、事前調査費は含みません。基準未満なら調査も不要、という意味ではありません。対象工事かどうかや、自治体独自の手続きは施工業者・所在地の自治体に確認しましょう。※3

買主には「分かっていること」と「未確認のこと」を伝える

売却を相談するときは、次の資料や情報を整理しておくと、調査の必要性や売却条件を話し合いやすくなります。

  • 過去のアスベスト調査報告書と、その調査範囲
  • 建築時の図面、使用した建材が分かる資料、建築時期の資料
  • リフォーム・修繕の履歴と、アスベスト対策工事の記録
  • 使用が確認されている場所、劣化や損傷が気になる場所
  • 調査していない部分や、資料がなく判断できない部分

たとえば、屋根だけを調べた報告書で「含有なし」とされていても、それだけで建物全体にアスベストがないとは判断できません。買主には調べた範囲も伝える必要があります。※2

マンションでは、管理組合や管理会社が調査記録を持っている場合があります。自分が所有する住戸内の資料に加え、共用部分の記録があるかも確認しましょう。※2

「現状渡し」だけで売主の責任がなくなるわけではない

現状渡しとは、修繕などをせず、現在の状態で引き渡す方法です。この言葉を書いただけで、売却後の責任がすべてなくなるわけではありません。

契約で合意した建物の状態と、引き渡した状態が食い違うと、売主の「契約不適合責任」が問題になることがあります。これは、引き渡したものが契約内容に合っていない場合の責任です。責任の有無や範囲は、説明内容や契約条件などによって変わります。※5

また、責任を負わない特約があっても、売主が知りながら告げなかった事実については、民法上、責任を免れません。使用を把握しているのに伏せたり、未調査なのに「含有なし」と説明したりしないようにしましょう。※5

物件の状態を伝える告知書、重要事項説明書、売買契約書で説明が食い違わないよう、不動産会社と内容を確認してください。責任を免除する特約など、個別の契約文言は必要に応じて弁護士に確認しましょう。

現状渡しの基本的な注意点は、【不動産売却の「現状渡し」とは?メリット・デメリットと売却前の注意点】も参考になります。

調査・除去費用は、金額だけでなく見積もりの範囲を確認する

アスベストへの対応費用は、使われている建材、面積、施工場所、必要な飛散防止措置などによって変わります。建物の広さや築年数だけで、一律の金額を見込むのは避けましょう。

工事を検討する場合は、調査費、対策工事費、廃棄物の運搬・処分費、通常の解体・改修費を区別して見積もりを確認すると、何に費用がかかるのか分かりやすくなります。厚生労働省も、発注者に対して事前調査費用が見積もりに計上されているか確認するよう案内しています。※6

見積もりを取る際は、次の点も確認してください。

  • 調査・分析する建材や場所はどこまでか
  • 石綿への対応費用と、通常の工事費はそれぞれいくらか
  • 見えない部分で追加の建材が見つかったとき、誰が費用を負担するか
  • 工期が延びた場合、引き渡し時期をどう調整するか

買主が購入後に解体・改修する予定なら、その費用や未確認部分が価格交渉の材料になることがあります。ただし、値下げ幅を一律に決めることはできません。立地や建物の利用価値、買主の工事計画も踏まえて、不動産会社と売出価格を検討しましょう。

そのまま売るか、対策・解体をして売るかを比較する

売却方法を決めるときは、売却価格に加え、売主が先に負担する費用と引き渡しまでの時間を比較します。

売り方 検討するときのポイント 契約前に確認したいこと
建物を残して売る 売主が先に大きな工事費を払わずに済む可能性がある 使用状況・未調査部分の説明、購入後の工事費の負担
必要な対策をして売る 建物を使い続ける予定の買主を想定する場合に検討 専門家による対策方法、施工範囲、記録の引き継ぎ
解体して土地を売る 建物を利用する需要が乏しい場合などに検討 事前調査、石綿対応を含む解体総額、更地での売却見込み

対策工事や解体をしても、かけた費用を売却価格で回収できるとは限りません。見積もりを取ったうえで、それぞれの売り方で手元に残る金額を比較しましょう。

仲介で買主を探す方法に加え、不動産会社による買取を検討する方法もあります。ただし、アスベストを含む物件の買取可否や条件は会社ごとに異なります。

売却方法の違いは、【不動産売却は仲介と買取どっち?違い・メリットと選び方を比較】で確認できます。

売却の相談は、手元の資料を集めるところから

アスベストの使用が分かっている場合も、使用の有無が不明な場合も、まずは調査報告書や図面、工事記録を集めましょう。資料が見つからないときは、そのことも含めて不動産会社に伝えてください。

相談時には「建物を残して売れるか」「追加の調査をした方がよいか」「対策・解体費用を誰が負担する条件にするか」を確認すると、次に行うことが具体的になります。

ロイズコーポレーションへ不動産売却を相談する際は、築年数や過去の調査・工事の有無もお知らせください。石綿の調査や工事については、専門業者による確認が必要です。

参考資料・出典

以下の資料をもとに一般的な注意点を整理しています。個別の建物に必要な対策や契約条件は、専門業者・不動産会社・必要に応じて弁護士に確認してください。資料確認日は2026年10月5日です。

※1 国土交通省「アスベスト対策Q&A」の建材・劣化に関する説明を参照。工事時の最新制度は※3・※4を参照。
※2 国土交通省「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」改正資料の石綿調査記録に関する重要事項説明の取扱いを参照。
※3 環境省「石綿事前調査結果の報告について」。事前調査と行政報告の対象・基準を参照。
※4 厚生労働省「石綿対策に係る全国一斉パトロールを実施します」。2023年10月からの建築物の事前調査者要件を参照。
※5 e-Gov法令検索「民法」第562条・第564条・第572条。契約内容との不適合、買主の権利、免責特約の限界を参照。
※6 厚生労働省・石綿総合情報ポータルサイト「解体・改修工事の発注者のみなさまへ」。調査費用の確認、費用・工期などへの発注者の配慮を参照。